外国人の雇用において就労ビザの適切な申請や更新を確認するのは企業の務めです。しかし外国人社員の採用経験が少ない企業では煩雑なビザ関係の手続きでつまづくケースを多く耳にします。
そこで今回は日本国内の企業で転職をした外国人社員のビザの更新手続きについて、事例を踏まえて必要書類と手順をご紹介します。
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ケーススタディ|外国人採用のためのビザの申請フローがわからない
ビザの申請は必要書類も多く煩雑です。切り替えや更新など手続き内容によっても申請方法が変わってきます。
そこでプレイスネクストラボに実際に寄せられた相談事例を取り上げて、ビザの取得手順についてわかりやすく解説します。
実際のご担当者様のお悩み
それでは実際に寄せられたビザ申請に関する相談事例を見てみましょう。
人事部 スポーツ用品メーカー
「グローバル展開を視野に入れて、海外向けWebサイトの立ち上げに必要な外国人エンジニアを登用しました。この社員は日本の別メーカーに勤めていた人材をヘッドハンティングしました。先日、前職にて取得した就労ビザの更新期日が近づいていると申し出がありました。具体的に何をしたらよいのかわかりません。教えてください。」
上記のようなケースは日本国内においても外国籍人材の流動化が進むようになり増えてきています。
手順としては必要書類を揃えたうえで、在留期間の更新許可を受ける必要があります。ここからは事例を踏まえて、必要書類と申請フローについて個別にご紹介します。
申請者・採用する企業が用意するもの
在留期間の更新許可を得るために必要な書類を見てみましょう。弊社ビザ取得のサポートを実施したエマ・コーヘン(仮名)さんの事例に照らし合わせて解説します。エマ・コーヘン(仮名)さんは日本国内で転職をして、2社目に在籍中のケースです。
申請者|エマ・コーヘン(仮名)さんのケース
ビザ申請当時のエマ・コーヘン(仮名)さんの状況は以下の通りです。
国籍:アメリカ
在住:日本
ビザの状況:日本企業で内定をもらい就労ビザを取得。同企業に数年在籍したのち、別の国内企業に転職した。今回は、転職した先の企業での初めての就労ビザ更新手続きとなる。
※転職した時点で契約機関変更の届出は済ませてある前提です。
参考文献:HR NOTE 就労ビザ・更新|わかりにくい手続きをパターン分け解説!|行政書士監修
申請者が用意するもの
申請者に用意してもらうのは以下の書類です。
- 在留期間更新許可申請書(申請人記入用)
- 写真(縦4㎝×横3㎝)
- 履歴書・職務経歴書(日本語訳)
- 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
※1月1日現在に住んでいた市および区役所で取得可能。 - パスポート及び在留カード
- 退職証明書及び源泉徴収票(前職の会社が発行したもの)
- 手数料4,000円 (許可された際、収入印紙で納付)
- 印鑑
企業側が用意するもの
- 在留期間更新許可申請書 (企業記入用)
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
- 登記事項証明書
- 決算文書写し
- 職務内容説明書
- 雇用契約書の写し
いずれの書類も不備があると在留期間の更新許可を受けられないことがあります。書類の作成には十分に注意をして、間違いのないことを確認しましょう。
なお、在留期間更新許可申請は以下に該当する人が行えます。
- ビザ取得者本人
- 法的代理人
- 入管から申請取次承認を受けている者・行政書士
更新申請の場合は通常「ビザ取得者本人」が申請をします。
エマ・コーヘン(仮名)さんのビザ申請手続き
必要書類がそろったら、いよいよ更新申請に移ります。フローについて順を追って解説します。
1、申請者の書類と、企業側が準備した書類を、申請者本人(ここではエマ・コーヘン(仮名)さん)が入国管理局に持参し、在留資格変更許可申請を行う。
※通常、2週間~1か月以内に申請結果が通知されます。
2、許可がおりると、本人住所宛に「通知書」と書かれたハガキが郵送される。
3、入国管理局に通知書、更新許可申請した時に受け取った「申請受付票」、パスポート(原本)、在留カード(原本)、4,000円(収入印紙代)を持参する。
※収入印紙は郵便局で事前に購入しておくのがおすすめ。入国管理局によっては併設のコンビニエンスストアなどで販売していますが、繁忙期は並ぶ場合もあります。
4、在留期間の更新が許可されます。
まとめ
日本国内の企業から転籍した外国人社員のビザの更新についてご紹介しました。在留期間の更新には最大1か月程度かかります。在留期間満了の約3か月前から申請することが可能なので、できるだけ早めに取り掛かりましょう。企業が申請者に代わって申し込みをすることはできませんが、期限内に更新申請を済ませているのかは把握をしておく必要があります。申請に不備がないように適切にフォローをしましょう。
申請者のフォローをしていて提出する書類が分からなくなったり、不安になった場合はこのTHジャーナルの記事を読み返してみてください。
また、THジャーナルでは「良質な外国人エンジニア採用」を目指す企業様に向けたコンサルティングも行っています。ご希望の場合はこちらのフォームからお問い合わせください。