新たに従業員を採用する際に、企業は入社時に健康診断書を提出してもらう必要があります。これは雇い入れ時の健康診断が法的に義務付けられているためですが、外国人採用の場合にはどうなるのでしょうか?
今回は、企業が従業員を雇用する際の健康診断について詳しく解説します。アメリカなどでは面接時の逆質問が非常に活発に行われています。健康診断書の提出について尋ねられることもあるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。
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採用時の健康診断書とは
事業者は「常時使用する労働者」を雇用する際に、労働安全衛生規則で健康診断を受診させることが義務付けられています。これは、企業が採用者の健康状態を把握し、管理する義務があるためです。対象となる従業員や検査内容について詳しく見ていきましょう。
健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは?
健康診断の対象となるのは、常時使用する労働者です。常時使用する労働者とは「フルタイムで働く正社員」という意味ではなく、派遣社員やパート、アルバイトも条件によっては該当。さらに事業者に解釈が委ねられる部分もあります。そのため、分かりづらく感じられるかもしれませんが、健康診断の対象となるケースについて、厚生労働省の基準を以下に引用紹介しますので、参考にしてみてください。
(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者)
(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。
出典:厚生労働省 東京労働局
雇入時の健康診断で定められた11の検査項目
労働者を雇用する際の健康診断は検査項目の省略が認められていないため、労働安全衛生法で定められた11の項目を病院で全て受ける必要があります。項目の詳細は、以下の通りです。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査及び喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査
- 肝機能検査
- 血中脂質検査
- 血糖検査
- 尿検査
- 心電図検査
外国人労働者の雇用においても健康診断は義務づけられている
外国人を採用する場合にも、日本人と変わらず安全衛生法が適用されるため、
健康診断の実施と健康診断書の提出が必要です。健康診断の目的や内容を、当該外国人労働者が理解できる方法で説明した上で、必ず受診してもらうようにしてください。
健康診断実施時の注意点について
雇入れ時健康診断の詳細に続き、実施の注意点を見ていきましょう。
労働安全衛生法に基づいて行う
事業者が労働者の健康を確保するため、健康診断の実施やその内容については、労働安全衛生法によって定められており、これを遵守する必要があります。厚生労働省発行の資料に詳細がわかりやすくまとまっているので、健康診断の実施前に、必ず目を通しておきましょう。
参考:ホームページ入門サイト厚生労働省 リーフレット「労働安全衛生法に基づく 健康診断を実施しましょう」
健康診断の実施時期
健康診断を実施する時期について明確な決まりはありませんが、雇い入れ後、できる限り早期の実施が望ましいとされています。また採用者本人が受けた健康診断結果を提出する場合は、直近3カ月以内の診断結果が必要です。
健康診断書は重要な個人情報として扱う
従業員の健康情報である健康診断書は、個人情報保護法によって適正に取り扱うことが定められています。そのため、個人情報保護法で定められた健康診断書の利用目的を必ず確認し、その他の目的で利用しないようにしてください。
費用は雇用側が負担するケースが多い
健康診断は保険の適用外となり、費用は1万円前後です。安全衛生法では、事業者が労働者に対して健康診断を行うことが義務付けられているため、雇用側が費用を負担するのが一般的です。
まとめ:雇入時の健康診断は企業の義務
労働者を雇う際の健康診断は労働衛生法で義務付けられていますが、それは外国人労働者も同様です。費用の負担はありますが、従業員の健康状態を把握して管理することは、他ならぬ企業自身を守るためでもあります。企業の義務として、雇用する従業員の健康診断は適切に実施し、就職内定者には事前に通知しておきましょう。
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