エンジニアの評価は難しいといわれていますが、評価基準が明確でないと、エンジニアの不満や離職にも繋がりかねません。とはいえどういった評価項目が適切かの判断は、なかなか難しいものですよね。今回はいくつかの有名企業の人事評価制度に触れながら、エンジニアの評価基準はどうあるべきかを解説します。
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エンジニアの評価基準は企業で異なる
エンジニアの評価基準は企業によって異なります。具体例として5つの企業の評価基準を紹介します。
メルカリ
フリマアプリとして急成長を果たしたメルカリ。2018年10月1日付けの新卒入社は50人中44人が外国籍、つまり採用枠の9割が外国人となったことで話題になりましたよね。そんな急成長を果たした会社の人事評価制度は、企業理念として掲げる3つのバリューをどれだけ達成することができたか、3カ月に1度、自己申告するというものです。
メルカリの3つのバリューは以下の通りです。
- Go Bold - 大胆にやろう
- All for One - 全ては成功のために
- Be Professsional - プロフェッショナルであれ
目標をどれだけ達成できたかではなく、そのためにどのように行動したかが評価対象となるのは、エンジニアの評価システムとしては珍しいといえます。
VOYAGE GROUP
VOYAGE GROUPは、「アドプラットフォーム事業」「ポイントメディア事業」「インキュベーション事業」の3つの事業を展開している企業です。
VOYAGE GROUPの人事評価システムは「技術力評価会」と名付けられており、概要は以下の通りです。
- 技術力評価会は半年に1回開催
- エンジニアは半年間の仕事から評価してもらいたいものを選択し、上位のエンジニアに対してプレゼンを行う
- 評価は点数ではなく文章によって行われ、GitHubによって社内で共有される
定量的な基準だけではなく、どのように働いたかも評価されるシステムであり、社内で共有されることで会社全体にもその経験がフィードバックされるシステムです。
クックパッド
レシピサイトで有名なクックパッドは、エンジニアのレベルの高さでも知られる企業です。クックパッドでは、エンジニアは4つのポイントで評価されます。
- ユーザーの立場になって問題を考え、それを解決するために主体的に動くことができるか
- 自分の強みとなるスキルを持ち、それを仕事に活かすことができるか
- シンプルな設計ができるか
- 社内だけにとどまらず、社外も含めた開発者全体に対して貢献できるか
単純にスキルを有するだけではなく、それを生かしてどれだけビジネスに貢献できるかという点が重視される人事評価制度といえます。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、最大手のインターネット広告の代理店であり、他の領域でも幅広く事業を展開する企業です。人事評価システムとしては、以下のようなものがあります。
- 半期ごとの目標管理
- 月に1回の上司面談
- 半期に一度のプロジェクト全体での目標
個人だけではなく、組織全体での目標達成も考慮した評価基準が採用されています。
Wantedly
SNSに特化したリクルーティングサービスを提供するWantedly。そのエンジニア評価制度は「Expectation制度」と呼ばれ、評価基準は、「マネージャーの期待に応えられたかどうか」というシンプルなものです。
エンジニアの具体的な評価項目
各社の評価システムに続き、エンジニアを評価する際の具体的な項目を見ていきます。
評価項目1:仕様レビューに対しての顧客満足度
仕様レビューに対する顧客満足度は、開発したシステムがどれだけクライアントの要望に応えられたかということ。完全な数値化はしづらい項目ではあるものの、エンジニの評価においては重要な項目といえるでしょう。
評価項目2:制作能力におけるコードでの評価
コードを書く能力は、制作能力を測るものさしになります。コーディングスキルもエンジニアの評価基準としては外せません。一人で評価はせずに複数人で評価するのも、客観的な評価になり適正な判断に近づけられるかもしれません。
評価項目3:開発スケジュールを守れているか
開発スケジュールの遅れはプロジェクトの進行に影響を及ぼします。工数を的確に見積もり、スケジュール通りに開発を行える能力も重要な評価項目。いくら品質がよかったとしても大幅な遅れは、どの仕事でも避けなればなりません。
まとめ:評価によってエンジニアのモチベーションは変わる
VOYAGE GROUPの技術力評議会や、クックパッド、メルカリ、サイバーエージェント、Wantedlyのような評価制度は、その制度を確立することでより適正な評価と離職率の低下やエンジニアのモチベーションアップにつなげられます。
しかし、エンジニアの評価はそういった技術スキルや実績だけではなく、チームワーク・コミュニケーション能力や向上心といった点も重要な評価のポイント。ご紹介した企業の評価基準や評価方法も有効ですが、会社のカルチャーに合わせた評価基準を設けつつ、エンジニアの適正な評価のためにも、多面的に評価してみてはいかがでしょうか。