外国人材の採用拡大や、2019年4月の「特定技能ビザ」が新設などにより、外国人労働者の雇用が増えています。外国人材の受け入れの際に人事担当者が疑問に思うのが、「自社の外国人労働者を雇用保険に加入させることができるのか?」という点ではないでしょうか。
そこで今回は外国人の雇用保険を取り上げ、外国人向けの手続きや、雇用保険に加入しない場合のリスクやデメリットを解説します。
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「雇用保険」とはそもそもどんなもの?
雇用保険とは公的な保険制度で、失業中の生活の安定を維持し、再就職活動を支援するための失業手当などを支給する保険です。
下記の条件を満たすすべての労働者は、雇用形態にかかわらず雇用保険への加入義務があります。
- 雇用期間が31日間以上
- 労働時間が週20時間以上
- 学生ではない(夜間大学・定時制高校や通信制の教育を受けている者で、被保険者の要件を満たす場合を除く)
参照:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
外国人労働者に対する雇用保険の手続き方法
雇用保険は国籍に関係なく適用されるため、先ほどご紹介した条件を満たせば、下記に該当する外国人も雇用保険に加入しなければなりません。
- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者
- 永住者の配偶者
なお、雇用保険への加入有無にかかわらず、外国人の入職・退職時には、すべての企業が管轄のハローワークに外国人の雇用状況を報告する義務があります。
まずは在留資格を確認しよう
外国人が雇用保険への加入条件を満たしていても、在留資格によって加入可否が分かれます。まずは雇い入れる外国人の在留資格を確認しましょう。在留資格は、中長期在留者に交付される「在留カード」に記載されています。
ただし、在留カードは以下の条件に当てはまる外国人には交付されません。
- 在留資格が「外交」「公用」
- 在留資格が「短期滞在」(短期ビザ)
- 在留期間が3ヶ月以下
- 特別永住者
- 不法就労者
被保険者か否かで手続き方法が異なる
雇用保険被保険者の外国人と、被保険者でない場合の手続き内容は下記のとおりです。
<被保険者の場合>
日本人従業員と同様に、「雇用保険被保険者資格取得届」に必要事項を記入して、雇入れの翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内に管轄のハローワークに届出ます。
申請書の記入内容は日本人も外国人も共通です。外国人の場合はさらに、申請書の17番から22番に該当するこれらの項目も記入します。
- 氏名(ローマ字)
- 国籍・地域
- 在留資格
- 在留期間
- 資格外活動許可の有無
- 派遣・請負就労区分
<被保険者ではない場合>
雇用保険の適用が除外される外国人の場合は、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を管轄のハローワークに提出します。届出の期限は、雇入れ・離職のいずれの場合も、翌月末日までです。
「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」には、これらの内容を記載します。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 国籍
- 資格外活動許可の有無
- 事業主
なお、届出書はこちらからダウンロードできます。
届け出容姿について|厚生労働省
参照:厚生労働省 『外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく』
雇用保険未加入によって起こるリスクとは?
雇用保険に加入しないと、失業給付や労働者の状況に応じた各種手当が受けられず、収入の維持が難しくなるリスクが生じます。
また、雇用保険は企業や労働者の意思に関係なく、原則として従業員を雇うすべての企業に加入義務があります。加入条件と在留資格などの要件を満たす外国人従業員であれば、雇用保険に加入しないという選択肢自体が存在しません。
外国人にとっては未加入=手取りが高いというイメージも…
雇用保険が適用されると、雇用保険料(賃金×雇用保険料率)は給与から天引きされます。
※一般の事業の企業に勤務する労働者の保険料率…0.3%(2017年度)
ただし、雇用保険を始めとした日本の社会保険は、自国の社会保険が充実していない国にから来ている外国人にとっては「手取りが低くなる」というイメージを持たれることが多いのが現状です。外国人を雇用する企業は、雇用保険の目的や未加入の場合のリスクやデメリットを説明して、理解してもらう必要があります。
まとめ:外国人労働者の雇用保険加入状況をチェックしよう
従業員1名以上のすべての企業には雇用保険への加入義務があり、加入要件を満たした労働者を雇用保険未加入とするのは、違法行為です。これは外国人においても、一部の在留資格や在留期間などの例外を除いて適用されます。被保険者に該当する外国人労働者の雇用保険加入状況を、今すぐ確認しましょう。
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