働いてはいけない外国人に労働をさせると「不法労働助長罪」に問われる恐れがあります。不法労働助長罪の具体的な内容や、どういったケースが該当するのかを、外国人労働者採用の前に確認しておくことが必要です。また、どのような外国人の労働が不法就労に当たるのかを把握して、対策を取りましょう。
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「不法就労助長罪」とは
外国人労働者の不法就労を手伝うような行いは、「不法就労助長罪」という法律に抵触してしまいます。罰則対象は労働者と事業主双方であるため、事業主も知らなかったでは済まされません。たとえ本当に不法就労者であることを把握していなくても、確認不足などの過失がある場合には処罰を受けることになってしまいます。罰則の内容は、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金に処すというものです。
不法就労助長罪に抵触する行い
事業主も罰則対象となる不法就労助長罪。どのような行動が不法就労助長罪になるのかを解説するので、あらかじめ把握しておきましょう。
外国人に不法就労を行わせる
当然のことながら、不法就労者を雇用したり、派遣したりすると不法就労助長罪に抵触します。
不法就労活動のために外国人を支配下におく
宿舎の提供や入国費用の負担・パスポートの預かりなど、不法就労活動を行いやすくする行動や、外国人労働者を支配下に置くような行動も法律に抵触します。
不法就労行動を斡旋する
不法就労行動の斡旋も法律に抵触します。具体的には就労の集会を開く、ブローカーとなるなどが該当します。
外国人の労働が「不法就労」と判断される3つのケース
外国人のどのような労働が不法就労とみなされるのかについて解説します。3つの観点から説明するので、知見を深めておきましょう。
不法滞在者および被退去強制者が働いている
密入国者や在留期限切れの外国人が労働している場合や、強制退去がすでに決定している外国人が日本で労働した場合、不法就労とみなされます。
入国管理局の許可無く働いている
短期滞在ビザで労働したり、留学生などが許可なく労働したりする場合は、入国管理局の許可なく労働しているとみなされて不法就労だと判断されます。
入国管理局の許可した範囲以上に働いている
在留資格に記載されていない職業での労働や、企業内の部署移動により、入国管理局が許可した範囲を超えて労働している場合も不法就労だとみなされてしまいます。特に部署移動の際には、どの労働が許可されているのか改めてチェックしましょう。
不法就労助長罪にならないための注意点
ここでは、不法就労助長罪を犯さないために注意したいポイントを解説します。知らない間に法律に抵触するリスクを回避しましょう。
在留カード・パスポートを確実にチェックする
パスポートは念入りにチェックしましょう。チェックする箇所の具体的な例は、パスポートの上陸許可証や写真・氏名・国籍・生年月日です。また、在留カードの氏名・生年月日・国籍も併せて確認しておくことをお勧めします。
在留カードの有効期限を確認する
在留カードの在留期間も確認しておきましょう。期限を喪失しているかどうかのチェックは、入国管理局の「在留カード番号失効番号照会」で行えます。在留カードを偽造している可能性もないとは言い切れません。必ず本物かどうかチェックしましょう。
就労制限の有無と就労内容の確認も忘れずに
在留カードの就労制限有無も要チェックです。就労不可と記されている場合、「資格外活動許可」があるかどうかを確認します。在留資格に記載されている仕事内容と相違ないかどうかについても併せて確認しておきましょう。
まとめ:不法就労助長罪は「知らなかった」ではすまされない
- 不法就労助長罪は労働者・事業者双方に罰則がある
- 不法滞在者や入国管理局からの就労許可が無い外国人は働けない。
- 在留カードやパスポートの確認は欠かしてはいけない。
不法就労助長罪は、外国人労働者の受け入れを検討している企業側にとって、法を犯さないように念入りに確認すべきものです。
不法就労助長罪は、労働者・事業者ともに罰則対象となります。「知らなかった」では確認不足だと判断されてしまうため、事業者は特に細かくチェックしましょう。
不法滞在者はもちろん、就労許可がおりていない外国人は日本国内で労働することが許されていません。就労許可がおりているか、不法滞在者ではないかをよく確認しましょう。
企業が不法就労助長罪に抵触しないように努められる最大の対策は、在留カードやパスポートの内容を確認することです。どの業務であれば働けるのか、在留カードが偽造されていないかの確認は欠かせないものだと言えるでしょう。