経営者には「マネジメント」と「リーダーシップ」の両方を備えた人物も多いためか2者は混同されがちですが、マネジメントは「管理」、リーダーシップは「統率力」などを意味する日本語が当てられる通り、その役割は異なります。
日本経済が成熟する過程においては、効率的に資源を活用して安定した事業運営を行うための「マネジメント」が重視されてきました。しかしIT技術が急速に発達し、これまでのビジネスに変革が求められる現在においては「リーダーシップ」も価値を増しています。
今回は、この2つに求められる役割や能力を解説、さらに企業はどのようにしてマネジメントやリーダーシップ人材を獲得し育成すべきかという点についてもご紹介します。
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マネジメントとリーダーシップの違い
マネジメントとリーダーシップはどちらも経営における重要な役割という点で共通するものの、発揮が求められる場面や能力にはそれぞれに異なります。
マネジメントとは
マネジメントとは計画や目標を達成するために、資金や人材といったリソースを管理することを意味します。マネジメント人材として期待されるのは、与えられた資源を管理しながら計画を遂行することです。現状を維持する役割ともいえます。
家を建てることに例えるのであれば、建材を適切に配分し、効率よく建設が進められるように指揮を執る現場監督の役割です。
リーダーシップとは
一方で、リーダシップとは目標を掲げ、同じ方向性でチームメンバーが動けるよう働きかける統率力のことをいいます。新たな目標・目的を達成するための原動力の役割を果たすため、企業においては事業の競争力を高める新規事業を開拓、運営していく人材が割り当てられます。
前出の家を建てる例に例えるのであれば、老朽化した家屋の改修や建て直しの必要性や今後のビジョンについて仲間を説得し、実現する力がリーダシップです。
これらは今までの経験を生かした判断力や決断力、行動力も問われます。役職クラス以上の社員なら身に付けておきたい能力です。
マネジメントに必要な能力
現状を正しく把握し、分析する力が求められます。その上で限られた資材や資金、人材を計画的に投入し、事業を安定的に継続させる管理能力を問われます。冷静な判断力や洞察力はもちろん、一歩先を読む先見力も必要でしょう。
リーダーシップに必要な能力
リーダーシップ人材は企業が成長を続けるための戦略的な思考や、組織全体が戦略を実行するための意思統一を図る能力が必要です。業務への影響力が大きいポジションなので、うまくいかなければ社員からの反発がでてきてしまうでしょう。
そのため、組織のメンバーを統率していける社内営業力や、部下や上司の縦のつながり、同僚との横のつながりなど、集団活動における人間関係にも気を配る必要もあります。複数人を統率するにあたって、常に信頼を勝ち取っていくことが重要です。
能力の発掘&育成について
マネジメントやリーダーシップに優れた人材は外部から登用することも可能ですが、外部人材は必ずしも会社の理念や文化を理解して適切に能力を発揮するとは限りません。
マネジメントやリーダーシップ人材は、すでに信頼を得ている優秀な社員を筆頭に、幅広い人材から発掘し、配置、育成するとよいでしょう。
能力やスキルのある人材を見抜く
経験者の採用は育成に時間がかからないので、手っ取り早い人材獲得の方法といえます。しかしリーダーシップやマネジメントに必要な一部の能力をすでに備えている人は社内にも少なくありません。たとえば予算管理や目標達成の能力が高い人物や、ヒューマンスキルを発揮して頼りにされている人物が職場にはいるはずです。こうした人材を見つけ、育てていくことも重要です。
適切な配置や育成
潜在的なマネジメントやリーダーシップの能力を持った社内人材を適切な配置につければ、企業理念や風土を理解しているだけに自社で活躍する人物に成長する見込みがあります。また研修などを通して能力やスキルの研鑽を積めば、将来的に上位ポジションでもマネジメントやリーダーシップの能力を発揮できるようになっていくでしょう。
まとめ
マネジメントとリーダーシップの違いについてご紹介しました。どちらも企業において重要な役割を担うという点では共通しますが、必要とされる能力は管理力もしくは統率力と明確に違っています。
これらの能力は経験によって培われる部分も大きく、一朝一夕で担えるものではありません。人材は転職市場に存在しますが、企業の理念や文化を理解したロイヤルティの高いリーダーやマネージャーほど頼りになるものはありません。社内でその能力の一部を発揮している社員を将来のマネジメントやリーダーシップ人材になるように育てることが重要といえるでしょう。
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