日本人は仏教・神道を信仰している人が多いと言われますが、実際は無宗教的な方がほとんどで、宗教に対して敏感ではありません。しかし、外国人労働者にとっては、信仰している宗教が人生そのものとなっている可能性があります。今回の記事では、外国人労働者を雇用した際に、宗教文化の違いによって起こり得る問題について解説します。
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日本での「普通」は外国人労働者には通用しない
日本では普通と思っていることが外国人労働者にとっては普通ではない場合があります。外国人労働者を受け入れる際には、特に以下のことに気を付けておきましょう。
- 現状、自社内で宗教上何か問題になることはないか確認する
- 指示は曖昧さを避けて具体的かつ的確に行う
- 外国人労働者が自己能力や適性を強く主張していたら根拠と共にすべて文章で記録する
- 外国人労働者の主張や質問には曖昧な返事をせず肯定・否定を理由とともに明確にする
- プライベートを大切にしている外国人労働者が多いため、就業時間と就労時間外を明確にする
特に宗教は人生そのものと言ってよいほど大切にしている外国人労働者が多いため、外国人労働者を採用する前に、日本企業側がしっかり宗教やそれに則した風習に関して理解しておくことが大切です。
外国人エンジニアの宗教文化で起こる問題とは?
外国人労働者を雇うと、文化的価値観による意見の相違や衝突が発生しやすくなります。その原因とされるうちの1つが宗教です。海外において、宗教は文化や人生の一部と捉えられるほど重視されている場合が多くあります。一方、日本人は宗教を文化や人生の一部と捉える傾向にはありません。
そのため宗教に対して鈍感で、イベントや凶事が発生した時に様々な宗教を取り入れた行動を起こす傾向にあります。クリスマスや葬儀などが代表例だといえるでしょう。そのため、イベント・凶事の際に外国人労働者とコミュニケーションをとってみて、その際に受けたフィードバックを基にして社内に反映させていく、という解決策が現実的だと言えるでしょう。外国人労働者の意見を聞ける機会として社内イベントを開催してみるのも良策だと言えます。
外国人労働者を受け入れる際に最低限行うべきことは、各国の宗教や文化に配慮した職場環境を整えることや、日本人労働者への宗教に関する教育です。どのような行いがタブーなのかを自社社員に教育しておく必要があります。しかし、面接時にどの宗教を信仰しているか尋ねるのは海外ではタブー視されているため注意しましょう。海外企業での労働環境や宗教対策を参考にして、自社で取り入れられるものがないか確認してみるといいでしょう。
業務時間中の礼拝などに賃金を支払う必要はあるの?
結論から言うと、業務時間中に行う礼拝などに賃金を支払う必要はありません。しかし、礼拝ができる環境を整えるなどの配慮が必要だとされています。礼拝の時間帯、回数などを労使間で話し合い、企業としても理解している姿勢を見せることが重要です。可能であれば外国人労働者が礼拝できるスペースを社内に確保するとよいでしょう。特に大手企業やベンチャー企業が社内に礼拝スペースを設ける傾向にあります。
食べ物の配慮も覚えておきたいポイント
宗教の中には、食べてはいけないものが定められているものがあります。そのため、社内の食堂やランチのメニューなどには気をつけておきたいところです。事前に口にしてよい食べ物や食べてはいけないものを確認しておくといった理解を示すことで、外国人労働者にとっても働きやすい環境づくりに繋げていくとよいでしょう。
具体的には、社内食堂に口にしてよいメニューを作るなどの工夫を施すとよいとされています。しかし、特定の人だけを特別扱いすることが難しいという事情を抱えた中小企業もあるでしょう。そのような企業でランチや社内の集まりがある際には、外国人労働者本人にどのような食べ物があるのかを説明してあげるとよいとされています。その中で口にしてよいものを自身で判断してもらうという解決策もあるため、参考にしてみてください。
「信仰の自由」を妨げないように工夫しよう
現状では、宗教について敏感ではない日本企業が先回りして対策するのは難易度が高いでしょう。問題に直面した時に都度外国人労働者本人とコミュニケーションをとることで、フィードバックを得て行動する、として解決していく方法が現実的だと言えます。まずは相手を理解し、受け入れる姿勢から始めましょう。外国人労働者は、少子化社会の日本の労働人口を補う貴重な労働資源です。外国人労働者受け入れに対し、自社でとれる方法はないかどうか改めて見つめなおすとよいでしょう。