外国人採用の課題と聞くと、日本語と外国語の間にある言語の壁やコミュニケーションで生まれる認識のズレなどを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。実は、外国人採用には、他にもさまざまな課題があるのです。
中でも特に理解しておきたいのが、外国と日本との文化の違い。少子高齢化が進み、労働力不足解消のため優秀な人材を確保すべく採用した外国人社員が、文化の違いが原因で定着しないという問題も起きやすくなるため、企業にとっては克服するべき大きな課題であるといえるでしょう。今回は、外国と日本の文化の違いについて、具体的な事例やその対策をご紹介します。
Contents
外国人採用の大きな課題である文化・風習の違い
まずは文化や風習の違いが、一緒に働くにあたってどの様な問題になるのか、具体的に見ていきましょう。
価値観の違い
個人主義なのか協調性を重んじるのか、企業への貢献なのか自らのスキルアップなのかなどの仕事に対する価値観が、外国人と日本人では違うことがあります。また、人生における仕事そのものの優先順位が異なっているのも価値観の違いによるものですが、日本人からすると、なぜ仕事よりプライベートを優先するのかが理解できず、まるで手を抜いているようにさえ感じてしまう場合もあるでしょう。
プロセス重視の日本と結果至上主義の欧米・欧州
さらに、日本は世界でも有数のプロセス重視文化を持つ国といわれていますが、欧米や欧州では“結果至上主義”の国が多いという違いもあります。結果至上主義の場合、プロセス構築に時間や予算を使わない傾向があるため、プロセス重視の日本企業のやり方に疑問を抱くという結果になります。例えば、日本人の上司に仕事のアウトプットイメージを伝えてもプロセスを追及されるケースがあり、その主旨が理解できないまま不満ばかり溜まっていくという悪循環が生まれるのです。
宗教観の違い
外国人は、仕事より宗教の優先順位が高いことも珍しくありません。特に、世界の三大宗教の一つであるイスラム教では、決まった方角に向かって1日に数回行う礼拝や、豚肉を食さないなどの習慣があり、これはビジネスの場においても優先されることがあります。日本人は無宗教の人が大部分を占めるので、宗教観の違いに戸惑ってしまう事例となるでしょう。
コミュニケーションスタイル
日本人と外国人とでは、コミュニケーションスタイルにも大きな違いがあります。例えば、日本人が目上・目下の人かによって話し方を使い分けるのに対し、アメリカの場合は相手の年齢や性別にあまり関係なく一定の丁寧さで話します。この違いにより、何も意識せずに日本人が話しかけた場合、アメリカ人が不愉快に感じることもあるでしょう。
日本に来てそのまま就職するような留学生であれば比較的理解が進んでいるかもしれませんが、 日本では空気を読む、暗黙の了解で察するなどの、いわゆるハイコンテクストなコミュニケーションが主流です。これは外国人には理解できない場合が多く、意思疎通がうまくいかないことも珍しくありません。
文化・風習の違いへの対策
文化や風習の違いを乗り越えるためには、お互いの文化をよく知ることが何よりも重要です。一言で外国人と言っても国によって文化は全く異なるため、判を押したような対策はできません。まずはお互いの文化をよく知る歩み寄りの姿勢を持ち、相互理解を深め、行動を変えていくことが重要です。その上で自社の理念を理解してもらい、一緒に企業文化を作り上げていくという方向性を共有していきましょう。
ここは日本だからといって、日本のやり方に従わせるような考えは避けたほうがいいでしょう。きちんと相手の言い分を聞き、遠回しではなく適切な言葉で伝え、確実に文化・風習のギャップを埋めていきましょう。
まとめ:文化の壁を乗り越え、働きやすい環境を作ることが外国人採用成功への道
外国人採用を成功させ定着率を上げていくためには、外国人が働きやすい環境を整える必要があります。採用のための課題は在留資格申請や就労ビザ取得、労働条件のすり合わせなどさまざまな課題はありますが、最大のネックである文化的な違いを理解し、克服するためのアプローチが重要です。日本の文化を押し付けず、お互いが理解しあう姿勢を社内全体で共有していきましょう。
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