外国人採用企業のランキングをご存知でしょうか。外国人雇用のためのビザ発給要件が緩和されたことで注目される外国人の採用ですが、実はすでに従業員の90%以上が外国人という日本企業も存在します。今回は、東洋経済オンラインが発表した内容を基に、採用企業のランキングからわかる企業の傾向と中小企業の取り組み例をご紹介して、外国人採用の傾向を解説します。
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外国人採用企業ランキング
まずは外国人雇用比率による企業ランキングをみていきましょう。上位にランクインした企業についても解説するため、外国人採用に強い企業の特徴について知見を深めてください。
外国人雇用比率によるランキング
2018年版の『CSR企業総覧』で取り上げられている各々の企業の連結外国人従業員数を連結従業員数で割って出た結果で、外国人比率を算出し比率の高い順からランキングをつけました。この際、現地雇用の外国人労働者も含めて計算しています。また、総外国人労働者数には嘱託社員も含まれています。
1位:フォスター電機
フォスター電機は、音響・車載用スピーカーの部品や製品を製造するメーカー企業。生産体制の増強に伴い、さらに製造フェーズにおいて人材が必要となる見通しとなっています。100%海外生産、外国人雇用比率が98.9%である点が特徴的です。本社における外国人登用をさらに推進する動きを見せています。
2位:ユー・エム・シー・エレクトロニクス
同社は、電子機器の受託製造や開発事業を主力としている企業です。中国に生産拠点を有しており、外国人比率が98.5%にのぼることも特徴的。
3位:マブチモーター
小型直流モーターにおける可能性を追求し続けている企業です。国際分業体制をとっていることも特徴的ですが、全世界の市場ニーズに応えられるよう外国人労働者を積極的に採用している点も注目したいポイント。外国人比率は96.4%で、ベトナムへと生産拠点をシフトしています。
外国人採用企業の傾向
外国人採用企業には、ある特徴が見受けられます。3つの観点から解説するので、外国人採用企業に関心のある方は参考にしてください。
企業規模
従業員数1万人を超える大企業が多い傾向にあります。外国人労働者比率のランキングでは9位にランクインしている住友電気工業。総外国人労働者の数は20万9094人(84.2%)でランクインした企業の中では最多となっています。
業界
トップ3に見られる電気機器製造業種や輸送機器製造業種などが多い傾向にあります。第2次産業の海外生産拠点を持つ企業が特に多くなっています。
その他業界の大手企業のランクイン
その他業界で外国人労働者の比率ランキングにランクインした大手企業をみていきましょう。銀行の大手企業においては、100位以内にランクインした三菱UFJフィナンシャルグループが挙げられます。海外取引が多いことが特徴的な企業です。証券・商品先物での大手企業では野村ホールディングスが上げられます。こちらは外国人労働者の管理職比率が高いことが特徴的だと言えるでしょう。
中小企業の外国人採用事例
外国人採用は大手企業が多い傾向にありますが、中小企業でも外国人採用事例は報告されています。こちらでは中小企業に焦点を当ててみていきましょう。
高度外国人材活躍企業50社からの事例
経済産業省が発表した「高度外国人材活躍企業50社」では、外国人材を採用し、海外に進出する足掛かりとしている企業50社を取り上げています。
ケービーソフトウェア株式会社
外国人労働者が主に海外への営業で活躍している企業です。まさに海外展開を狙った採用方針だと言えるでしょう。外国人が常に職場にいることから、日本人社員は外国人とコミュニケーションを無理なくとれるような仕組みになっています。
株式会社イームズラボ
AIやロボティクスなど先端技術を取り入れるために、知識のある外国人労働者を採用しています。日本語能力は問わず、コミュニケーションは英語で取り合います。外国語オープンソースから情報を取得し、優秀な人材獲得に貢献しているのが特徴的です。
株式会社HDE(ソフトウェア開発)
同社は、IT企業として最先端の技術を獲得し事業を拡大するために外国人労働者を採用しています。メンタルヘルス対策をはじめとして、外国人労働者の受け入れ体勢が整っている点も特徴的でしょう。海外IT技術に自社サービスを適応させたり、社内の公用語を英語としたりすることで社員の語学力向上も狙っています。
株式会社モンスター・ラボ
同社は先端技術の開発研究を目的として外国人労働者を採用しています。公平性を保ち、社員の多様性を尊重する風習が強く根付いています。優秀な人材を獲得し、事業を拡大させる狙いもある企業です。
中小企業の傾向
中小企業では、海外進出や最先端技術の獲得など、ビジネス領域を拡大することを主な目的として外国人採用を取り入れています。日本人社員と対等なポジションで評価する傾向にあるため、外国人労働者もやりがいを感じながら働けるでしょう。
まとめ:外国人採用の傾向から見えてきたこと
- 製造業の外国人比率が高い傾向
- 現地の生産拠点での雇用が多い
- 中小企業では優秀な外国人を積極登用でビジネス力UP
電気機器製造業種や輸送機器製造業種では外国人労働者の比率が比較的高い傾向にあります。主に製造フェーズを任されることが多いようです。
日本本社で働く外国人労働者もいますが、現地の生産拠点での雇用も多くなってきており、中小企業では、優秀な外国人を採用することで、海外進出など会社組織のビジネス力向上を狙っているようです。ビザ発給要件の緩和など国としても力を入れている外国人採用。今後も市場が大きくなり、事業拡大を目指す企業が次々と参入してくることが今回の内容から考えられます。