外国人エンジニアが日本人と結婚する場合、配偶者としての日本における在留資格というのはどのようなものなのでしょうか。実は日本人と婚姻関係にある外国人の場合は、配偶者向けの在留資格を取得することで日本人と同じ条件や待遇で労働することが可能になります。日本人の配偶者である外国人は、ぜひとも取得しておきたい在留資格です。そこで今回は、配偶者向けの在留資格について、取得の要件や方法、離婚の場合に必要な手続きまで徹底解説します。
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日本人の配偶者向け在留資格
外国人が日本において就労する際には、在留資格の要件に従った内容の労働を行う必要があります。しかし、外国人が日本人と婚姻関係にある場合には配偶者向けの在留資格を得られます。具体的にどのような在留資格なのか確認してみましょう。
就労制限のない在留資格
日本人は国内で就労する場合、原則いかなる雇用形態のどのような職種にも就労することが可能です(医師など別途資格が必要な職種は除く)。この日本人と同等の就労および雇用条件が認められるのが、就労制限のない在留資格です。そのひとつに「日本人の配偶者等」という在留資格があります。参考までにですが、外国籍を取得している日本人の実の子どもの場合も同じ在留資格が得られます。
日本人の配偶者等の在留資格とは
さて、日本の「配偶者等の在留資格」とは以下の2つの条件を満たしている必要があります。
- 日本人と法律上婚姻している。※離婚、死別、内縁は含まない。
- 日本人の配偶者としての身分を有する者としての活動をしている。
配偶者としての活動とは
重要なのは上記の配偶者としての活動です。具体的には日常的に共同生活を送っているかという点が問われます。これは日本に滞在するために、書面上だけの夫婦関係で配偶者の在留資格を不正に取得することを防ぐ目的があります。そのため別居の場合には、家庭内暴力や金銭的な事情といった正当な理由が求められます。
配偶者資格の申請
それでは「配偶者等の在留資格」を申請するためにはどのような書類が必要なのでしょうか。具体的に見てみましょう。
- 申請書 1通
- 理由書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
- 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本 1通
- 申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書 1通
- 配偶者の住民税の課税証明書及び納税証明書 各1通
- 配偶者(日本人)の身元保証書 1通
- 配偶者の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
- 質問書 1通
- スナップ写真(夫婦で写っている、容姿が鮮明なもの)2~3枚
※実際の申請に際しては、身分を証明する文書などほかにも必要なものがあります。
配偶者向け在留資格の必要書類に独特であるのが質問書です。8枚に及ぶ質問書では、婚姻にいたる経緯や紹介者、渡航回数など細かく結婚にまつわる事柄を問われます。上記の配偶者としての活動同様に、配偶者資格の不正な取得を防ぐためにこれらの質問には正直に回答する必要があります。
日本人と同じ就労条件が得られる配偶者の資格ですが、更新は必要です。つい更新のタイミングを逃してしまったということのないように、その時期は必ず確認しておきましょう。
資格保持者が離婚した場合
配偶者向け在留資格の保持者が離婚をした場合には、配偶者ではなくなるため資格の変更が必要になります。ただし、通常の就労ビザに切り替えになるというわけではなく、以下の条件で離婚後も同等の在留資格を得られる「定住者」の資格を申請する機会があります。
- 日本人との日本での結婚生活が3年以上ある
- 日本人との間に実子がおり、離婚後に親権を得て日本にて養育する
- 日本での生活が可能な十分な収入があること
ただし、離婚の届出が遅れて6ヶ月を経過した場合には在留資格が取り消される可能性があります。在留資格の期間が残っている場合にも届出は速やかに行いましょう。
なお配偶者の在留資格で働く外国人を雇用する企業は該当する就労者から離婚をするという相談を受けた場合には、上記のような資格変更の手続きを案内して、今後も働けるようにサポートをしましょう。
まとめ:配偶者資格は就労制限なし
- 日本人の配偶者は就労制限なしの資格を得られる
- 婚姻の実態が問われる
- 離婚の場合は資格変更が必要
日本人の配偶者向けの、就労制限がない在留資格をご紹介しました。日本人と同じ就労条件や待遇を受けられる配偶者向け在留資格ですが、その要件としては法律上の婚姻関係にあるだけではなく、実際に夫婦として共同生活を営む必要があります。そして、在留資格の不正な申請を防ぐために、配偶者向け在留資格については申請時に婚姻に関する細かい質問に適切に答えなればなりません。また他の在留資格と同様に資格の更新は必要で、離婚の場合には速やかに他の在留資格へ切り替えなければなりません。細かい書類の提出を求められる配偶者等の在留資格ですが、日本での就労を望む場合には厚待遇の資格ですので、必要書類を揃えて確実に資格を得られるようにしましょう。